女王の庭

自宅の庭をつくりたい!から一念発起。庭づくりが職業になりました。あれから十数年、自宅の庭は放置のまま、数百件のお客さまの庭をつくりつづけて今に至ります。

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世話の要らない木をお願いします-2

 

 

 

前回の記事にて、世話にの要らない木について少し書いてみたのですが、

hanamoarashimo.hatenablog.com

記事をよく読むと、なにやら とっ散らかっていますが、

前回記事を要約しますと

  • 世話の一切要らない木はありません
  • 世話になるべく手間がかからない木ならあります


という事になります。

では、世話になるべく手間がかからない木とはなんぞや?

ということになりますが、

こちらは、私は個人的に2種類あると思っています。


水やりなどに時間が割けず、枯らすのが心配な方は

とにかく強い植物

になりますし、

巨大化やボーボーになってしまうのが心配な方は

あまり大きくならない植物

という事になります。



わが社にお越しになるお客様は、

植物を植えたい。
けど、うまくそだてられるだろうか?

という心配をされている方が多いので、

 

「とにかく強い植物」に寄せたセレクトを行います。

ただ、強い植物はウラを返せば、
少々では枯れないので、繁殖力旺盛で、ボーボーになりやすいという性質も持っています。

ボーボーになった植物の恐ろしさはこれまでもブログで啓蒙活動を続けてきましたが、

たとえボーボーになろうとも、せめて最初の1~2年はお客様にも水やりなどをやっていただき、グングン成長して花や実をつけた植物を楽しんでいただくという成功体験を味わっていただきたいと思っています。

植物が成長する。花を楽しむ、実を楽しむ。

将来の巨大化を恐れるよりも、植物を植えている人が得る事ができる最大の喜びを、今のお庭の管理のモチベーションにして頂きたく思っています。


それに、ボーボーも人間の背丈以上にならず、横に広がらなければ恐れることはありません。

大きくなりすぎたからと言ってクヨクヨせず、いざとなったら枝を落とせばいいのです。

人の手が届けば剪定が可能ですので、比較的育成の制御が行いやすくなります。



ということで、人の手が届く大きさの樹木については、

とにかく強い植物をセレクトしています。


それに対して、人の背丈より大きな いわゆる「高木」は

成長がゆっくりで、植物の線が細く、あまり剪定の必要のない植物を選ぶ傾向にあります。

人の背丈を越える樹木は、庭にやってきた時点で既に人間の制御を超えています。

枝が伸びても剪定は手が届きませんし、失敗したと感じて引っこ抜こうとしても、なかなかの重労働です。

ということで、

低木はよく育つもの 高木は成長がゆっくりのもの

でよいと思います。


ちなみに、わが社でよく植える低木

斑入りヤブラン
アガパンサス
アベリアコンフェティ
ヒューケラ
フッキソウ
姫シャリンバイ
アジサイ
コデマリ
クリスマスローズ
ギボウシ
ミツバツツジ

高木

アオダモ
シラカシ
イロハモミジ
ソヨゴ
ヤマボウシ
ジューンベリー
常緑ヤマボウシ

などです。

さほど珍しい植物ではありませんが、きちんと管理して、日当たりの位置を気にして植えれば瀬戸内地方では十分育成し、四季の移ろいを感じさせてくれる植物です。


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高木:アオダモ ヤマボウシ シマトネリコ


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高木:イロハモミジ ヤマボウシ


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高木:アオダモ ヤマボウシ シマトネリコ シラカシ

シマトネリコについては、高木でなおかつ成長が早いので
空間に余裕がある場合に植えています。

低木は育成早く(強く)
高木は育成遅く

四文字熟語で勝手に表現するなら
低早高遅

 

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の法則で植えています。

ただ、剪定が一切必要がないかというと、やはり数年に一度は手を入れて頂くと樹形が整い、建物の経年変化に伴って重厚感が増してきます。

植物とうまく付き合い、お庭の経年変化を楽しめるお庭にしたいものですね。