カッコいい(オシャレな)庭のつくりかた1
お庭の設計の仕事を始めて十数年。
自分の庭の設計方法もなんとなく決まってきてたりします。
私共のお客様は、こだわりがあったり、思いが強かったり、そんな方々が比較的多い様に思います。
様々な思いやリクエストをお話してくださった後に、最後は
オシャレにしてください。もしくはカッコよくしてください。
とご希望を述べて打ち合わせが締めくくりとなります。
では、オシャレな庭とは何ぞやという事になるのですが、
私が思うカッコいい(オシャレな)庭は
カッコ悪い箇所が限りなく少ない庭
ということです。
カッコよくしようとしているのではなく、
実はカッコ悪い場所を一つでも多く減らしているだけなのです。
設計をなさる方でそれぞれだとは思いますが、
私の場合は、お客様からのリクエストをとりあえずすべて入れて、
そのあとから、取り合わせの悪い箇所、かっこよく見えない箇所、使いにくい箇所を無くしてゆく作業をしていきます。
どちらかと言えばネガティブ志向の私らしい設計方法です。
昔から、〇〇になりたい!〇〇を目標に目指したい!などというポジティブシンキング全開の生き方はしておらず、
せめて、××にはならない様にしたい。最低でも××はクリアしておかねばならない。
等、自分の中の最低ラインを設定し、そこをなんとかクリアしながら細々と生きる日々。
不思議と高い目標設定を目指すより、目標の下限値を設定し、そこだけは死守しようと思う方が物事が進みやすかったりします。
では、カッコ悪い箇所って具体的に何でしょうか?
〇オシャレと思ったものをとにかく入れてみた
お庭の研究が熱心な方は、カッコいいものを見ている頻度が高いので、
とにかくあれもこれもという方が多いです。
正直申し上げて、全部入れると、カッコいい以前に
敷地か予算もしくは両方が全然足りません。
また、デザイン的にまとまりがつきません。
お好きなものは1点に絞るくらいの決断が必要です。
〇使えればいい(機能性最重視)
手間がかかるので、木は要りません 安く上げたい。シンプル メンテナンスフリー
駐車は3台以上と機能のみを追求すると、
じゃ、全部アスファルト舗装でいいじゃん
という、スーパー究極の庭にたどり着きます。
もう、造園の設計施工を行う会社ではなく、
舗装業者さん 土木業者さんにお願いした方がよくなってしまいます。
〇建物と色彩が合ってない
アクセントとして、差し色で立水栓やポストに赤色などを使う事はありますが、
基本的に建物に使われてない色、素材を使うと視覚的に落ち着かないお庭になります。
好きな色があっても、ほどほどにした方が良いと思います。
〇建物とデザインが合ってない
コレは大げさな例ですが、
古い日本家屋のお庭のリノベーションの場合は、長年、シックな和風庭園を見て生活して飽きてしまい、ふと雑誌でみかけた ナチュラル、シャビーシックなお庭などに非常に目をひかれたりなさる事もある様ですが、やはり、建物あってのお庭です。
建物と庭の雰囲気のマッチングは重要です。
〇デザイン性を追求しすぎて使えない
庭は大切な生活空間です。
使いにくいお庭はいずれ大変なストレスになってしまいます。
使えなくて、施工後しばらくしてやり直す方も多いのです。
〇植物にまとまりがない
これ、結構多いのです。
お庭好きな方は、ついついカワイイ植物を見ると買ってお庭に植えてしまうものです。
好きな時に好きな植物を好きな様に植えても、好きなお庭にならないは不思議なものです。
お庭空間が、有力者の財力と権力を表現し、お金のかかった道楽ではなく、建物に付随する生活の一部という位置づけになってからの現代、
巷にあふれる情報、グッズ、設計・施工業者の増加、我々は手軽に低コストで庭を思い通りにできる自由を得た代りに、バランスの悪いものも簡単にお庭に入ってくる事になりました。
意外と「カッコ悪い魔の手」はたやすく皆さまの庭に侵入してきます。
ご注意下さい。
次回記事で、対応策をお知らせします。