女王の庭

自宅の庭をつくりたい!から一念発起。庭づくりが職業になりました。あれから十数年、自宅の庭は放置のまま、数百件のお客さまの庭をつくりつづけて今に至ります。

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カッコいい(オシャレな)庭のつくりかた2

かなり遅れての連載2回目となり、申し訳ありません。
以前の記事からの続きとなります。

hanamoarashimo.hatenablog.com

 

カッコいい(オシャレな)庭とは何ぞやという話なのですが、

 

私は

カッコ悪い箇所が限りなく少ない庭

の事だと思っています。

カッコ悪い庭を避ける為の方法を列挙してゆきたいと思います。



〇オシャレと思ったものをとにかく入れてみた

前回は、オシャレと思ったモノを全部入れてみたら、敷地面積か予算が不足します。

と述べましたが、それ以前に

 

近年の価値観として

 

 

物質に溢れる現代。

 


色んなモノや機会を低価格・簡単に手に入れる事ができる様になった代わりに、気を抜けば、生活にも、庭にもカッコ悪い魔の手が簡単に侵入してきます。

カッコいいものの足し算ではバランスの良い家も生活もそして庭も作れなくなってしまいました。


世に溢れかえる、選択肢、アイテムの中から、自分に合うものを選びとる目、感覚、センスが重視される時代になってきた事を、最近特にお客様とお話して感じる様になりました。

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オシャレと思ったものを厳選して、シンプルに。


低コストで、飾らず、ダサいものを排除する引き算の美学を感じさせるお庭が現在のイケてるお庭です。

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たくさんカッコいいものを見て目を肥やすのはとても素晴らしい事、
そこから自分に合うものを削ぎ落として、選び取る事が大切です。



〇使えればいい(機能性最重視)

 

ノーメンテナンスで
安くて
草が生えなくて~


↑おそらくこの仕事について1億回は耳にしたであろうリクエストです。

 

加えて、

 

植物はいらないけど、もし植えるなら
成長しなくて、枯れなくて、葉っぱの落ちない木を植えてください。


↑はっきり申し上げて、こういう植物は存在しません→却下 となると


お庭全体アスファルト舗装となり

最もコストもかからず、
プランの時間も一切必要ありません。





最強です!

手間と資金をかけない事を追求しすぎると、

というか、我々の出番無しです。

になるのですが、少なくとも当ブログをお読みの皆さんどこかでそのような空間がもはや庭とは呼べない事をご存知のはずです。

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手間と資金でお庭の表情は確実に変わってゆきます。

オシャレは我慢からと申しますが、

カッコいいものには、ある程度の手間暇と

便利なものには、それなりの出費がかかる事をご承知ください。

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 以前、このような記事を書きました。
思い通りのお庭にする為の資金のお話です。ご参考までに

hanamoarashimo.hatenablog.com



〇建物と色彩が合ってない

これについては、皆さん思いがあるのですが、

 

芸術を爆発させるぜ!!

くらいの気概を持った方は別として


以前、自然石石張りの目地に真っ赤な赤色を使っていた物件を見かけた事があります。


どうせやるならここまですると相当に芸術を爆発させた事がわかります。
 



フェンスや門塀、カーポート、アプローチの色合いに迷ったり、色選びに自信がない場合は、家に使ってある色と同系色にするのがベストです。

建物の色合いと合わせ3色くらいまでが限度でしょうか?

カーポートなどのアルミ製品は、家のサッシの色と同じ
門塀などは建物の外壁や軒裏、玄関ドアなどと同系色・同素材を使えばとんでもなく大ハズレにはなりません。


色で冒険したい方はプランナーにご相談される事をおすすめします。


〇建物とデザインが合ってない

こういう事案は最近特に減ってきました。

そもそも、お客様が家を建てる時に好きじゃない建物を建てなくなってきたのです。

お庭の打ち合わせをしていても、
ご夫婦でデザインの傾向や趣味が異なる事もほぼありません。

私がかけだしの頃は、ご夫婦で趣味がまったく異なる場合が多く、

建物外観と住宅メーカーは夫が選び、
内装、お庭は妻の趣味で、と担当がわかれていたりしたものです。

好みが違うお二人で選ばれているので、建物と庭と内装に一体感がない場合も見受けられ、プランにもご夫婦の意見の統合を図る策を盛り込むのが大変だった時期もありました。


まずは、グッとこらえて少なくとも、玄関周りなど、人目につく場所は建物と庭の雰囲気は必ず合わせましょう。

そして、人目につかないスペースを盛大に趣味のお庭にしたり、
人目につかないスペースがない場合は、囲いをつくりその中のスペースを利用するのも手です。

以前施工したお庭のリフォームで、カリフォルニア風のお庭を施工させていただいた事があります。

ご主人と子供さんが、カリフォルニアの庭をガンガンに押す中、
奥さまが、和室の前だけ、和風に・・・・私の希望はそれだけです。

とおっしゃる難しい案件がありました。

なにせ、ガーデンカリフォルニアにしたい箇所に思いっきり和室が面していたので。


ウリンの板塀を高めに設置し、わずか80センチ程度の隙間ですが、それだけあれば、蹲も小ぶりの和の植物も石も入れられます。

屋外からはアクセントの板塀として、室内からは完全なる和の坪庭としてうまく分離できた一例です。

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〇デザイン性を追求しすぎて使えない

お庭は、建物の中にまで訪れない不特定多数の方が目にする空間です。
見た目を重視するという考え方は正しいあり方ではあると思いますが、同時に、日々生活する現実味がないと維持管理もできません。

以前お庭の改修をしたお客様宅で、すごく困ってる場所として
駐車場脇の花壇をなくして欲しいとのご依頼を頂いた事があります。

花壇に植物が植えられている風景はいいけれども、駐車場から玄関までの距離が遠くなって使いづらいとの事でした。

仕事から帰り、悪天候の日など一刻も早く室内に入りたいのに、大回りせねば入れないこの不便さ。

花壇は一部撤去して、駐車場から玄関までの動線をできる限り短縮しました。

 

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小さな事ですが、庭が生活空間である事を感じた、すごく心に残っている物件です。

デザイン性はすぐにでも検討しやすいのですが、利便性については、正直言って一度住んでみないと見えてきません

しかも、デザインと使い勝手は性質上、相反する場合があります。

 

ちなみに、日本の昔からの造園技法では

デザイン6割 使い勝手4割と説いています。

お庭づくりは家と同様はじめての方が多いと思います。
経験した事のない作業となります。

デザインはある程度お客様の意見を反映する事が可能ですが、使い勝手については必ずプランナーに相談した方がよいと思います。

なぜなら、専門業者はそれなりの経験はもちろんですが、使い勝手の悪い失敗したお庭の施工例も相当数みてきているからです。
いい庭づくりも良いのですが、まずは失敗しないという事をクリアしたいものです。




〇植物にまとまりがない

これは、弊社(昌三園)あるあるかもしれませんが、
植物がお好きな方が多いので、ついつい、買ってしまった花苗、樹木、盆栽・・・

勢いではじめてしまった家庭菜園

等々

どうしようもなくなって、ちゃんとお庭をつくりたいと駆け込んでこられる方が多いです。


家と敷地を持つといろいろやってみたい気持ちは重々承知の上ですが、

重ね重ね申し上げます。

 


好きなときに好きなものを好きな場所に植えても


好きな庭にはなりません。

簡単そうにみえて、

動線、草対策、植物の管理、使い勝手、そして見た目
そういったものの計画もなく、なんとなく、ではお庭はできません。


ただし、植物の特性や育て方など、実際に育てた方の体験は大変役にたちます。

芝生の育成の大変さをどれだけ説いても、管理した事のない方には響きません。


ゴルフ場の様な美しいグリーンを庭に保持できる方は

私がこの仕事をはじめて十数年。記憶する限り、お客様の中では3名しかおられません。

選ばれし芝管理の才能と芝を愛する気持ちがなければ維持管理が難しいのですが、

勢いでチャレンジして、撤去する事もままならず、庭が草原になっている方は数知れずおられます。

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が、そんな失敗も経験です。


植物が増えて困っておられる方、その植物との体験はお庭づくりにかならず活かせます。好きな植物の収集時期を終え、次のステップとして、好きなお庭づくりに進もうかとお考えの方、そのご経験を活かすとともに、

増えすぎた植物の取捨選択は業者にお任せして、処分してリセットする勇気も必要です。



オシャレな庭をつくる為には、


カッコいいものを選びすぎない引き算の選択

ある程度はお金が必要であること

をお客様にご理解頂いた上、

デザイン性と使い勝手、植物を入れる場合はその選択
を専門業者に相談する事が一番近道だと感じています。



専門業者に相談する一番の意義は、記事にも書いていますが、

失敗例をたくさん知っている事です。
お庭づくりについてははじめての方が多いかと思います。
また、特に新築外構の方は建物に気力、資金を使い果たし、屋外まで気がまわらない方もおられます。

そんな状態では望んだ通りの、素晴らしい100%のお庭づくりは目指せません。

しかし、とりあえず、住みながら改良を加え、価値を上げて行くことができるのが、お庭、外構の面白いところです。

お庭について分からないなりにも前進させてなければならない時は、とりあえず、失敗の無い様にしておけばいいのです。


そして、失敗を知るのは百戦錬磨の専門業者のみなのです。




専門業者に相談と書きましたが、一つご注意いただきたいのは、ただ、専門業者に丸投げしておくだけで、はカッコいい空間は出来上がりません。

といういことで、
次回は、じゃ、業者に任せたら思う通りのカッコいい庭ができるのか?

について書いてみたいと思います。


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