女王の庭

自宅の庭をつくりたい!から一念発起。庭づくりが職業になりました。あれから十数年、自宅の庭は放置のまま、数百件のお客さまの庭をつくりつづけて今に至ります。

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適正価格

千葉県内の台風災害は非常に大きかった様で、未だ通常生活にお困りの方もおおくいらして、本当に大変だと思います。

こちらは、地震津波の被害はうけにくい地域在住ですが、土砂崩れ、水害などの多発地域に住んでおり、被害の程いかばかりかと思っております。

被災された方々が、一日も早く普通の生活に戻れる事を願っております。




さて、今朝、屋根にブルーシートを張るという作業

を高額な金額で請負うという詐欺まがいの工事が多発しており、注意喚起をするという内容の報道がありました。

困っている方の足元を見て、儲けのネタにするという行為が発生しているのであれば、非常に心が痛みます。

が、しかしなのですが、

確かに、twitterでよく見かける

 
この仕上がりと面積で18万は確かに高いと感じました。



が、


ただ、18万という金額「のみ」を見て 高いという風潮にならなければよいと思います。

ブルーシートといえば、薄くて小さいサイズのレジャーシートなどが数百円で販売されてる事もありお安いイメージがあると思いますが、厚手で紫外線にも強く、丈夫で、比較的サイズの大きなブルーシートが1万円以上するは珍しいことではありません。

かなり大きいモノですと、数万円したりします。

私もしっかりしたのブルーシートの値段などこの職業につくまで知りませんでした。





ブルーシート貼る「だけ」で という文言も良く見ますが、
ブルーシートを貼る「だけ」の行為ですと、被災者の皆さんや臨時ボランティアの方々もさほど困らないと思うのですが、

場所は屋根の上です。

屋根の上での高所作業は、危険ですし、それなりの技術や経験も必要ですし、それなりの道具も必要です。

要するにプロの手を借りる必要があります。


私も植木屋という職業柄、高所へ上がることもありましたが、

正直、怖いです。
危険です。


植木屋さんは高いところを楽々あるく特殊能力の人が集まる集団ではなく、
訓練と場数を踏むことで慣れていくのです。
※私はサッパリ慣れませんでしたが・・・


そんな怖い場所でしかも作業となるとそんなに簡単な事ではなく。


残念ですが、同業者で高所より落ちてもう2度と足が動かなくなった方や亡くなった方も存じ上げています。

そのくらい屋根の上は注意を要する作業場所であるという認識を持って頂き、
不慣れな方は、絶対に上らない様にご注意いただきたく思います。



 
ぼったくりでも何でもなく、たとえ小さな工事であっても、場所をよく拝見して、作業に必要な技術者、道具、手順、材料、現場までの距離など色々と手順を決め見積金額をお出しすると、見積をした私自身が



は?こんなにかかる???

 

 

とビックリする事も正直あります。



工事金額は仕上がりという単純に目に見える箇所だけでなく、実際に作業を行う材料、道具、技術、人員、状況、などの複合体なのです。

複合体のいずれかが、不十分だったり、欠けていたりすると金額が高くなってしまう傾向にあります。





ちなみに、私は18万円という金額を 高っ!!と感じる一般人です。

しかし、自分が18万円を高いと思う事と、工事金額に18万円かかるのとは別の話です。



例えば、1000万円はとても高いですが、1000万円の新築住宅をたかすぎる!!!

 

という方は少ないと思います。


それは、新築住宅の相場などが一般的に広く知れ渡っているからだと思います。

適正な価格も判断がしやすいです。


しかし、ブルーシートを被災した屋根の上に掛けるという工事の相場など知れ渡っているワケではないので、どうしても、個人個人の肌感覚で高い安いを検討してしまいがちです。

一番良いのは、複数の業者から合い見積もりを取って、相場を知り、担当者と会話したりして、会社の事を調べる事なのでしょうけど、緊急時にはそんな事言ってられません。

で、

 
実のところ、この画像だけでは、作業状況がわからないので、値段については言及しませんが、
これでは次の雨や風でさっさと吹っ飛ぶか、またシートが外れるかです。
応急処置にもなってません。

ガムテープや養生テープで引っ付くのなら誰も苦労しません。

ちょっとやそっとで壊れないものをつくるのがプロの仕事です。

一専門業者を名乗りお金を取る内容ではありません。




こうやって災害で毎年日本のどこかが困っています。
その度に、人の弱みに付け込み、ズサンな工事で暴利を貪る輩は必ずでてきます。

しかし、なかなか災害に備えて生活する事は難しいと思います。

そこで、個人的な意見ですが、


緊急を要する工事の際の、地元業者との被災時の協力体制や、被災者が工事を依頼する際のおすすめ業者(信頼のおける業者)の指定制度、様々な工事の一般的な目安金額などの告知などもした方がいいのではないかと思います。

 
また、高所で行う危険な作業は一般の方、ボランティアでは無理ですので、詐欺業者が横行する前に、行政が速やかに専門業者に作業を委託する必要もあるかと思います。


 

 

 


工事金額は安いに越した事はありませんが、きちんとした工事には適正な価格というものが存在します。
安すぎる工事には何か理由があります。
(手抜き作業、材料の不備、未熟な作業員による作業)


今回の手抜きブルーシート貼り工事により、適正価格でやっている工事業者がぼったくりのイメージがついてしまう可能性がある事がとても心配です。


衣食住の住は人の一生の中でもかなり高額で、大切なものです。
私が従事しているお庭づくりという仕事も住の一環です。

ここが落ち着かなければ、生活もなにもあったものではありません。


無駄に高額な金額を払う必要はまったくありませんが、

工事には数年後、数十年後をの事を考えた時に、適正な価格がある事。
適正価格を知る為には、自身でリサーチする必要がある事。
高いと感じたら、理由を聞いてみる事
業者が適正価格で作業する会社であるのか、信頼できる業者なのか、実際によく話をしてみること。

などが大切です。


 

被災の話から、適正工事価格の話に飛んでしまいましたが、



詐欺まがい商法で、適正な価格で作業を行う専門業者がとばっちりを受けない事、

そして、被災地の方が一日も早く普通の生活に戻れる事
安心した住処に戻る事ができる事を願ってやみません。