女王の庭

自宅の庭をつくりたい!から一念発起。庭づくりが職業になりました。あれから十数年、自宅の庭は放置のまま、数百件のお客さまの庭をつくりつづけて今に至ります。

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カッコいい(オシャレな)庭のつくりかた1

お庭の設計の仕事を始めて十数年。

自分の庭の設計方法もなんとなく決まってきてたりします。

私共のお客様は、こだわりがあったり、思いが強かったり、そんな方々が比較的多い様に思います。

様々な思いやリクエストをお話してくださった後に、最後は

オシャレにしてください。もしくはカッコよくしてください。
とご希望を述べて打ち合わせが締めくくりとなります。


では、オシャレな庭とは何ぞやという事になるのですが、

 

 

 

私が思うカッコいい(オシャレな)庭は

 

カッコ悪い箇所が限りなく少ない庭


ということです。









 

カッコよくしようとしているのではなく、

実はカッコ悪い場所を一つでも多く減らしているだけなのです。

 

設計をなさる方でそれぞれだとは思いますが、
私の場合は、お客様からのリクエストをとりあえずすべて入れて、
そのあとから、取り合わせの悪い箇所、かっこよく見えない箇所、使いにくい箇所を無くしてゆく作業をしていきます。



どちらかと言えばネガティブ志向の私らしい設計方法です。

昔から、〇〇になりたい!〇〇を目標に目指したい!などというポジティブシンキング全開の生き方はしておらず、

せめて、××にはならない様にしたい。最低でも××はクリアしておかねばならない。
等、自分の中の最低ラインを設定し、そこをなんとかクリアしながら細々と生きる日々。



不思議と高い目標設定を目指すより、目標の下限値を設定し、そこだけは死守しようと思う方が物事が進みやすかったりします。





では、カッコ悪い箇所って具体的に何でしょうか?

 


〇オシャレと思ったものをとにかく入れてみた

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お庭の研究が熱心な方は、カッコいいものを見ている頻度が高いので、
とにかくあれもこれもという方が多いです。

正直申し上げて、全部入れると、カッコいい以前に

 

敷地か予算もしくは両方が全然足りません。

また、デザイン的にまとまりがつきません。
お好きなものは1点に絞るくらいの決断が必要です。




〇使えればいい(機能性最重視)

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手間がかかるので、木は要りません 安く上げたい。シンプル メンテナンスフリー

駐車は3台以上と機能のみを追求すると、

じゃ、全部アスファルト舗装でいいじゃん
という、スーパー究極の庭にたどり着きます。

もう、造園の設計施工を行う会社ではなく、
舗装業者さん 土木業者さんにお願いした方がよくなってしまいます。

〇建物と色彩が合ってない

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アクセントとして、差し色で立水栓やポストに赤色などを使う事はありますが、
基本的に建物に使われてない色、素材を使うと視覚的に落ち着かないお庭になります。
好きな色があっても、ほどほどにした方が良いと思います。

 

〇建物とデザインが合ってない

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コレは大げさな例ですが、
古い日本家屋のお庭のリノベーションの場合は、長年、シックな和風庭園を見て生活して飽きてしまい、ふと雑誌でみかけた ナチュラル、シャビーシックなお庭などに非常に目をひかれたりなさる事もある様ですが、やはり、建物あってのお庭です。

建物と庭の雰囲気のマッチングは重要です。




〇デザイン性を追求しすぎて使えない

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庭は大切な生活空間です。
使いにくいお庭はいずれ大変なストレスになってしまいます。

使えなくて、施工後しばらくしてやり直す方も多いのです。



〇植物にまとまりがない

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これ、結構多いのです。
お庭好きな方は、ついついカワイイ植物を見ると買ってお庭に植えてしまうものです。

好きな時に好きな植物を好きな様に植えても、好きなお庭にならないは不思議なものです。

 


お庭空間が、有力者の財力と権力を表現し、お金のかかった道楽ではなく、建物に付随する生活の一部という位置づけになってからの現代、

巷にあふれる情報、グッズ、設計・施工業者の増加、我々は手軽に低コストで庭を思い通りにできる自由を得た代りに、バランスの悪いものも簡単にお庭に入ってくる事になりました。

意外と「カッコ悪い魔の手」はたやすく皆さまの庭に侵入してきます。


ご注意下さい。




次回記事で、対応策をお知らせします。

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ちょっと待て、葉っぱはすぐに治らない

皆様ご無沙汰しております。

暑さとともに、私も撃沈しておりました。



さて、今年は猛暑それから台風だの豪雨だのが続き、天候に翻弄される日々でしたね。
9月に入ってようやく秋の気配が訪れております。


8月中頃~今の時期にかけて、お客様から植物不調のお問い合わせを多く頂いております。


そして、内容はどれもほぼ一緒です。




ヤマボウシの葉が茶色くなっています。大丈夫でしょうか?






これは、ヤマボウシが日本中で特に不調なのではなく、

私共のお客様の庭に高確率で植えられている植物だから必然的にそういうお問い合わせが多いと思われます。



まず、ヤマボウシですが、この樹木は私がこの仕事に就いてから継続的に庭の入れている樹木です。もしかすると、世の中で一番好きな樹木かもしれません。

会社のロゴマークは紅葉の葉なんですが・・・




この樹木は、日陰に植えてあるという場合以外ですと、夏(ものすごく暑い時期)によく葉先が茶色になる事があります。
真夏以外は非常に可憐な姿を見せてくれますが・・・


管理をよくしてくださってるお客様は特に、水やりが不足しているとか、お世話が足りないのではないのかとご心配されるのですが、そういう性質の植物です。

ですので、あまり焦らずにしっかり水やりをして、日が落ちてからは葉に水をやって、
ひたすら猛暑を乗り切るしかありません。



さて、ここで

こんなに心配して、問い合わせまでしたのに、


やることはそれだけなんか!?

真面目に考えとるんか!?
肥料をやるとか薬をやるとか・・・


と思われるかもしれませんが、実際にやれる事はそのくらいなのです。




植物は言葉を発しませんので、皆様非常に心配されてお問い合わせをくださるのですが人間に置き換えてみれば結構簡単です。


めちゃめちゃ暑くて熱中症寸前の状態の時って、スポーツドリンクを飲むか、体を冷やすか、そのくらいの方法しかないですよね。



熱中症寸前の人に、

 

 

弱ってるね・・・鰻でも食べてスタミナつけたら?奢るし・・・

 


と誰も言わないはず。


ただ、植物と人間の違いは、
涼しい場所に移動できるかできないかだけ。

年々高温化する気温に、私達の様に、植物を扱う業者も今までの経験値だけで、ココに植えたら大丈夫!とか軽々しくアドバイスできない状況になってきたと感じます。



今年の猛暑は特に堪えたのではないかと思います。
猛暑の為、人間が屋外に出ることもカーテンを開けることもままならず、気づいたら葉が茶色かったというのが、9月に入ってから増えたお客様からのヤマボウシ不調のご連絡の原因かもしれません。



しかし、晩夏になり度重なる台風のおかげで猛暑も少し和らいでまいりました。


じゃ、これからヤマボウシを治すぞ!!

茶色い葉っぱ撲滅!樹勢回復!となるのですが、
残念ながらヤマボウシはこれから冬にかけて落葉していきます。


現在、樹木についている茶色い葉っぱを落としたらおそらくそのまま落葉し、ヤマボウシ達は冬季のお休みにはいってしまいます。

冬季の間に植えて3年目以降くらいのヤマボウシとなりますと、肥料をやるのも効果的です。


ということで、ヤマボウシの完全復活を確認するには、春の芽吹きを待つ必要があります。


落葉?

その前に、もう少し暖かいし、春とか言わず、
水やったし、涼しくなったし葉っぱは治らないの?

という疑問が発生するかもしれませんが、傷んでしまった葉は水をやっても肥料をやっても葉をつけたままは治りません。


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とはならず、

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↑このような過程をたどります。



人間が手を怪我してしまって、かさぶたができて、また皮膚が復活する。

という風にはいかないのが植物です。

植物の新陳代謝は、葉が落ちて、葉が芽吹くの繰り返しです。


なにか対策を練るとソッコーで治るというわけではなく、スパンの長い回復を待たねばなりません。



実は、私は、7月に体調がおかしくなってしまい、全身に激しい蕁麻疹が発生し、喉や顔にまで蕁麻疹が広がり、腫れ上がって呼吸ができなくなりそうになって夜中に病院にかけこみました。

その時に、注射を打って頂いたのですが・・・


注射はゆっくり1分くらいかけて打つのですが、腕に至っては、注射を打っている途中から蕁麻疹が引いていくのがわかりました。
あまりにも早い症状の収まりに驚いたものです。

この様になんでもすぐ効果が上がるのが人間の治療であるが故に、効果が遅いと心配になってしまいますよね。


人間と比べて、植物はなんでもゆっくり。
その分人間より長く生きている樹木もあります。

植物達のスローの生態を暖かく見守っていただけると幸いです。






豪雨の後に思った事

皆様、ご無沙汰しております。

随分とブログそっちのけの生活をしている真に、突然の酷暑、梅雨、そして西日本豪雨、からの突然の梅雨明け宣言、酷暑


それなりに年季の入った年齢になりますと、若い頃の様に気合と努力だけで仕事を進める事ができなくなってしまい、情報発信が遅れて申し訳ありません。


まずは、今回の西日本豪雨で、尊い命が失われた事に深く哀悼の意を表しますと共に、
行方不明の方が一日も早く見つかる事、そして被災された皆さまが1日も早く落ち着いた生活に戻る日が来る事を願ってやみません。


私共の会社は一部被害のあった広島県福山市にありますが、団地のほぼ山頂にあり、雨の影響を受ける事もさほどなく、スタッフ共々通常業務に励んでおります。

ただ、お客様の中には被災された方、被害を受けられた方も存在し、心を痛めております。すべてのお客様の状況を把握できてる状況ではないのですが、お困りの方がおられましたら、遠慮なくご一報いただければと思っております。


豪雨後の月曜日より、通常営業しておりましたが、私自身が会社も団地の山頂、自宅はその隣の団地の山頂にあるため、浸水の被害状況をまったく把握しておらず、週明けに出た福山市内の様子にただただ驚くばかりでした。

特に福山市北部方面 また岡山方面は被害が大きかった様に思います。

私が週明けにお会いしたお客様、お電話でお話できたお客様は幸いにも難を逃れた方
床下浸水で済みましたとおっしゃる方がほとんどでした。

ただ、結果的に被害はなかったけれど、

 

念の為避難された

 

というお客様もいらっしゃいました。



避難

 

 

簡単に言葉では言えますが、建物、庭、家財、思い出の品、生活の場を置いて命のみをとる選択をする決断を下すタイミングの難しさを今回、犠牲者の多さから痛感しております。

避難が遅れた理由は、その他にも、ウチは大丈夫だろう。とか、何が何でも家を守りたい、とか、面倒とか色々理由があると思います。

避難しない理由はいくらでも思いつくのですが、そこを敢えて避難した理由をお客様方にお聞きしてみました。


一番の大きなきっかけは、お子様を中心としたご家族の声掛けだった様です。



若い方はすぐにスマホで情報を拾い危険を察知しますが、大人の方は今までの経験値で状況を判断しがちです。

経験値という先入観で判断しない事が本当に大切だと思いました。

今回は50年に1度の豪雨ということですが、近年の異常気象をみていると次の豪雨は50年後と言わず、また発生してもおかしくないと思います。


お父さん。お母さん お願いだから逃げて

という声掛け、本当に大切だと思います。



ちなみに、私は、危険を察知した時はすべてを置いて、いの一番に逃走するタイプの人間ですが

単身世帯も多いご時世、


さっさと逃走せず、ご近隣の方にも逃げますが、ご一緒しますか?と声をかけようと思っています。


また、豪雨後に、消防団に籍を置く同業者さんと話をしましたが、

豪雨当日は、浸水で孤立した方を避難所まで運ぶボートを水に漬かりながら押したとの事。

 

救助した時は皆さん、

 

ありがとうございました


と大変丁寧にお礼をおっしゃるそうですが、

避難に支障がない程度に体が動く方であれば、お礼を言って頂くより


避難所に自ら出向いて無事で居て下さる方が何倍も嬉しいとの事。



高齢の方やお身体が不自由だったり、避難困難の方の安否確認や救助に人員を回したいという話を聴いてなるほどなと思いました。

 

 

 

経験を過信せず、躊躇なく避難。

気候が安定しない昨今。すばやい行動を心掛けたいものです。

また、若い方々の情報収集の力、避難の決断の速さに感心しました。




本日は、浸水したお客様宅のお庭の清掃のお手伝いをしてきましたが、とにかく暑い!

各地でボランティアの募集も本格的に稼働しはじめましたが、
この暑さの前では、役に立ちたい!というせっかくの気合とやる気も熱中症の前に敗北です。

ボランティアに来られる方々の活動の様子をテレビなどで見かけますが、
普段はスーツを着用しているであろう男性の、スコップを握る手つきの初々しさや、腰の入ってない土の掘り方などを見ると、

あ~、ちょっとしか土掘れてないじゃん!とかそんな掘り方じゃ腰やられるし・・・
というか太陽に当たる様に当たる様に作業してるよ。気を付けて!!

とか、日々、植物、土、水を扱っている私からすると
危なっかしく感じる事もあります。


現場作業を離れて何年も経つ私ですが、
失礼ながら、女子ではありますが、日々スーツを着用されている男性よりは、こんな時はかなり役に立つと思っています。


それは、毎日土を触る職業だから。


状況に応じたスコップや一輪車など、道具の効率的な使い方、
太陽の位置を見ながら作業内容や作業場所を変える事で暑さだって軽減できます。

現場を離れていても、熱中症にならない自分なりのタイミング、体の状況の把握。

太陽の下で仕事をしていた経験(お陰で顔、シミだらけですが)がしばらく作業するとよみがえってきます。


ボランティアの方が効率よく、安全に作業ができる様にだれか指導する人が居てもいいなと。こんな時こそ、造園、土木など土を日々触っている方の力が必要だなと思った次第です。




まだまだ復旧まで道半ば。
行方不明の方もおられます。


今、出来る事を考えながら、次に何かあった時はすぐに行動に移せる様に心がけたいものです。

新築外構100万円伝説

家を新築後、また建築中にお庭のご相談にいらっしゃるお客様はとても多いのですが、

お庭へのご希望をおききした後に、大体のご予算をお尋ねすると・・・

 

大体100万くらいで・・・


というお答えが返ってきます。


私はコレを

 

 

新築外構100万円伝説

 

 

と呼んでいます。



といいますのも、

その100万円の計算根拠ですが、

お話を伺ってみると、特に具体的な算定を行ったわけではないのです。

住宅ローンの予算を組む時に、

に大体外構費用として100万円くらいを目安として。

というアドバイスを頂いたというパターンがほとんどでした。



ところが、お客様の夢と希望の詰まった建物、それに相応しい希望のお庭の内容をお聞きしておりますと、

 

 

100万円以内ではおさまりません


ということで、この新築外構100万円という金額にははっきりとした根拠がないが故に伝説と呼んでいます。



新築外構の100万円で一体なにができるかご存知ですか?


広島県福山市内で一般的に存在する宅地の敷地を例に挙げますと、
50~60坪程度

大体、隣地境界にブロック3段+縦格子のフェンスをつけて、15mくらい

25万円程度
駐車場3台分(ご夫婦各1台+予備1台)50万円
ポスト表札 5~8万円 
防草処置 10万円~30万円(広さによる)

----------------------------------------------
大体このあたりで↑100万円突破

 

門塀 8万円~20万円程度
アプローチ 10万円~(使用材料による)

樹木 H=3.0程度を2本ほど 1本3万円~5万円

諸経費
消費税

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ということで、100万円では少しの見た目の向上と、生活に必要と思われる構築物などの設置で終わってしまいます。

樹木にライトアップしたい、カーポートをつけたい、デッキをつけたい、テラスをつけたい、目隠しをつくりたい、おしゃれにしたい


といった、
お庭をより楽しく、便利に使えるスペースとしての付加価値的な構造物はほとんど入りません。


しかし、もちろん100万円以内での施工は可能です。

そもそもお庭は建物以外のスペースで、極論をいえば無くても生活ができる部分です。

 

ということで、何もしなければ施工費0円です。

しかし、施工費0円では、雨が降れば土がぬかるみますし、土に跳ね返った雨水で建物の壁がよごれます。夏には雑草がボーボーだし、時間が経てば敷地内の土が道路に出てしまいます。

絶対100万円以上は無理!
というご予算が決定していたら、まずは施工費0円ライフをしばらく送ってみて下さい。

とにかく困って困って仕方ない箇所が必ず発生します。
特に車が日ごろ出入りする部分や、玄関へのアプローチが雨でぬかるむととても生活しにくくなると思います。


そこから、困る箇所を減らすプランを立て、可能な範囲でお庭に必要な箇所を揃えていくのが無駄のない外構費の使い方かと思います。


ただ、ご予算を事前に絶対的な金額として決めておいて、この金額で必ず収めて下さい

と造園プランをお願いすると、

もう10万円だせば、お庭のオシャレ度がアップする。

とかもう20万円だせば、すごく便利に暮せる。

と言ったあともう一歩でお庭がグレードアップするというプランを目にする機会がなくなってしまいます。

工事が終わった後に、それに気づいて


なんだ~あと10万円増やせば、オシャレになったのか・・・だったら、もう10万円頑張ったのに・・・と気づいてももうやり直せない場合もあります。



皆さま、考え方は色々だと思いますが、

100万円伝説は、あくまでも生活に必要な箇所を設置する金額とお考え下さい。

力いっぱい、建築に情熱とお金をつぎ込んで、パワーを使い果たしたところに
造園、外構ってそんなにかかるんかい!!

と、お庭づくりに目が向いた時にビックリしない様に事前に造園、外構の業者さんにご相談されるのもいいかもしれません。

広島県福山市近郊で新築外構をご検討されてる皆さま、昌三園でも承っております。ご相談お待ちしております。

また、限りあるご予算です。

施工費0円生活で、ゆっくりお庭に必要なモノを検討された方のご相談も承っております。どうぞお声がけ下さいませ。

ga-shozoen.co.jp









世話の要らない木をお願いします-2

 

 

 

前回の記事にて、世話にの要らない木について少し書いてみたのですが、

hanamoarashimo.hatenablog.com

記事をよく読むと、なにやら とっ散らかっていますが、

前回記事を要約しますと

  • 世話の一切要らない木はありません
  • 世話になるべく手間がかからない木ならあります


という事になります。

では、世話になるべく手間がかからない木とはなんぞや?

ということになりますが、

こちらは、私は個人的に2種類あると思っています。


水やりなどに時間が割けず、枯らすのが心配な方は

とにかく強い植物

になりますし、

巨大化やボーボーになってしまうのが心配な方は

あまり大きくならない植物

という事になります。



わが社にお越しになるお客様は、

植物を植えたい。
けど、うまくそだてられるだろうか?

という心配をされている方が多いので、

 

「とにかく強い植物」に寄せたセレクトを行います。

ただ、強い植物はウラを返せば、
少々では枯れないので、繁殖力旺盛で、ボーボーになりやすいという性質も持っています。

ボーボーになった植物の恐ろしさはこれまでもブログで啓蒙活動を続けてきましたが、

たとえボーボーになろうとも、せめて最初の1~2年はお客様にも水やりなどをやっていただき、グングン成長して花や実をつけた植物を楽しんでいただくという成功体験を味わっていただきたいと思っています。

植物が成長する。花を楽しむ、実を楽しむ。

将来の巨大化を恐れるよりも、植物を植えている人が得る事ができる最大の喜びを、今のお庭の管理のモチベーションにして頂きたく思っています。


それに、ボーボーも人間の背丈以上にならず、横に広がらなければ恐れることはありません。

大きくなりすぎたからと言ってクヨクヨせず、いざとなったら枝を落とせばいいのです。

人の手が届けば剪定が可能ですので、比較的育成の制御が行いやすくなります。



ということで、人の手が届く大きさの樹木については、

とにかく強い植物をセレクトしています。


それに対して、人の背丈より大きな いわゆる「高木」は

成長がゆっくりで、植物の線が細く、あまり剪定の必要のない植物を選ぶ傾向にあります。

人の背丈を越える樹木は、庭にやってきた時点で既に人間の制御を超えています。

枝が伸びても剪定は手が届きませんし、失敗したと感じて引っこ抜こうとしても、なかなかの重労働です。

ということで、

低木はよく育つもの 高木は成長がゆっくりのもの

でよいと思います。


ちなみに、わが社でよく植える低木

斑入りヤブラン
アガパンサス
アベリアコンフェティ
ヒューケラ
フッキソウ
姫シャリンバイ
アジサイ
コデマリ
クリスマスローズ
ギボウシ
ミツバツツジ

高木

アオダモ
シラカシ
イロハモミジ
ソヨゴ
ヤマボウシ
ジューンベリー
常緑ヤマボウシ

などです。

さほど珍しい植物ではありませんが、きちんと管理して、日当たりの位置を気にして植えれば瀬戸内地方では十分育成し、四季の移ろいを感じさせてくれる植物です。


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高木:アオダモ ヤマボウシ シマトネリコ


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高木:イロハモミジ ヤマボウシ


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高木:アオダモ ヤマボウシ シマトネリコ シラカシ

シマトネリコについては、高木でなおかつ成長が早いので
空間に余裕がある場合に植えています。

低木は育成早く(強く)
高木は育成遅く

四文字熟語で勝手に表現するなら
低早高遅

 

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の法則で植えています。

ただ、剪定が一切必要がないかというと、やはり数年に一度は手を入れて頂くと樹形が整い、建物の経年変化に伴って重厚感が増してきます。

植物とうまく付き合い、お庭の経年変化を楽しめるお庭にしたいものですね。

世話の要らない木をお願いします-1

仕事柄

 

 

 

「世話の要らない木を植えて下さい」



というご要望を頂く事があります。

 

結論は

 

 

 

 

「ありません」

 

 

 

の一択です。



秒速で「ありません」と返答したいところですが、お客様も今までに色々と枯らしてしまったとか、剪定で苦労したなど、切実なお悩みをお持ちであるが故のご要望かと思い、まずはお話をお聞きするようにしています。

お客様のおっしゃる主なお世話とは

水やり
剪定
肥料

を指している事が多いです。

 

しかし、まずは、

 

植物は言葉を持たない、表情を持たないが故に、気が付きにくいのですが、

私たち人間と同様に基本的に生きものだという事をご理解頂きたいです。

暑い寒いも感じますし、お腹も減るし、水分も摂取しています。



というわけでまずは世の中に

 

「世話の要らない木」というものは存在しないという事をご理解頂きたいと思います。

世話の要らない木を望む方が多いのは、

  • 忙しくて水やりをする時間がない
  • 木が成長して巨大になってしまったらどうしていいのか分からない
  • 毎年剪定代を支払えない


という理由が多い様です。

中には、枯らすのは得意なんで・・・

と自信なさげにおっしゃる方も。


枯らすのが得意というのは、

 

 

「実際に枯らしたことがある」

 

という実体験に基づいた感想なのですが、詳細をお聞きすると、

室内の鉢植えの観葉植物とか、ついつい買ってしまった花鉢をベランダで枯らしてしまったという経験の様です。


このような実体験に基づいて枯らすことを恐れておられる方に

 

一言申し上げます。


鉢を少々枯らしてしまったからと言って、心配要りません。

鉢に入った植物というのは

 

職業が「造園業」と称する私であっても

 



枯らしまくりました。


鉢植えはプロでもウッカリ枯れるんです。
(と、自分の管理不足を棚に上げてみる)
枯らすのが得意だからという事ではありません。


鉢植えは手軽ですが、長期に渡って育てるのは至難の業です。


何故なら、小さな箱の中に少しだけの土を入れてその中で根を生やし大きく健康に育てるという事は、かごの中の鳥を育てるのと一緒のことだからです。

自由を持たない植物は、人間が与える水や肥料にのみ依存して生きねばなりません。
日当たりに気を遣い、水をやり、肥料を与え、植物が成長すれば根が張り、鉢のサイズを替え、とにかく気を遣ってお世話しまくらないときちんと成長しません。

ウッカリ夏の暑い日に忙しくて水やりを忘れただけでしおれます。
かわいがりすぎて水をやりすぎても根腐れします。

と言うことで、鉢植えに失敗したからと言って、お庭に植えた木がすぐに枯れる事にはなりませんので、ご安心下さい。

広い地面に植えて、太陽と雨を浴びた植物はある程度まで育つと自力で育ってくれます。


木の巨大化については、

普段から当ブログにて、その恐ろしさの啓蒙活動↓を行った事が功を奏しているのか

hanamoarashimo.hatenablog.com

 

hanamoarashimo.hatenablog.com


実体験として、
ご実家の庭木の量が多すぎて、手入れが大変だった。
植木屋さんにお願いする剪定代がかなりかかっていた。

また、家を建てる際に、家訓として

「庭木は植えるな」と親御さんから言われた。

というお話も耳にします。


確かに、親御さん世代の方のお庭には、松やサツキの常緑樹や、生垣など毎年の剪定を欠かすと木の形がおかしくなってしまったり、ボサボサになってジャングルになってしまう樹木が多く見受けられたので、無理もない事かと思います。


しかし、心配要りません。
昔と違って現在のお庭は植栽樹木が多様化しています。

大きくならない樹木はありませんが、
大きくなるスピードがゆっくりな樹木は存在します。

インターネットでも樹木の特徴は調べられますが、植物は地域によっても育成状況は違います。敷地の様子や日当たりを見て、地元の業者の意見を参考になさることかと思います。その地域で、相当数の樹木を植えて、数年後の行く末まで見ている人の経験値は大きいかと思います。


ということで、まずは小さな結論

世話の要らない木は存在しません
しかし、世話がなるべく少なくて済む木は選択可能です。


お庭に少しでも緑の彩りを加えたいと思った方が、世話ができない事に不安を感じて植栽を諦めるのはとても勿体ないことです。

※ただし、木に水を1滴もやる時間も予定もない方には、どんなにメンテナンスが少なくて済むと言っても、おすすめする植物がありません。
また別のものをおすすめする事となります。

次回の記事では、世話がなべく少なくて済む植物についてご案内したいと思います。




気が付いたら困る事-木 大きくなりすぎ問題2

hanamoarashimo.hatenablog.com

からの続きとなります。

木、大きくなりすぎ問題は、ついつい背丈の大きな樹木を想定してしまいがちですが、

前回でも述べた、つる植物や匍匐性の植物も意外と大きくなりすぎてしまうのです。

以下、撤去の経験がある植物ですが、

 

ローズマリー(匍匐性)

ローズマリー - Google 検索


ミント(地下茎)

ミント - Google 検索


ワイヤプランツ

ワイヤープランツ - Google 検索

 

ハツユキカズラ

ハツユキカズラ - Google 検索


アイビー

アイビー - Google 検索



どれもこれも買った当初は9センチポットに収まり、200円~300円程度の苗でした。

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ローズマリーは名前がカワイイのと、お料理に使える(肉の臭みを消す)との触れ込みで比較的お客様からの人気も高い様ですが、植えられた数が多い分、撤去も多くしてきました。

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料理に使えると言っても、日本人の我々は

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あまりこのような↑食事もとりませんので、利用の機会は限られています。
料理に使う以上のスピードで繁殖します。

料理に使えるハーブは思わず植えてしまいたくなりますが、

 

 

料理に使えるモノを同じ植えるなら

 

オシャレ度がちょっとアレなんですが、

 

絶対にネギの方が有用性が高いです。

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ミントについては、ローズマリーよりさらに猛スピードで繁殖します。

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厄介なのは、地下茎で増える為、抜いても抜いても地面のどこかから生えてきて、管理が大変難しい事です。


私は実は、相当なミント中毒で、日々の生活にミントの清涼感がないと生きていけないレベルの人間です。
余談ですが、私のデスクに常備されているもの↓

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ということで、少々のミントが生えたところで、

ミントティーに全然足りねーよ。そんなんじゃ。


と大きく出る事はできるのですが、

 

大量の生ミントを収穫し、ミントティーにして知人。家族に飲ませると

「まっず~~~~~~」


との事で、どうやら日本人の味覚にマッチしない場合も多い様です。

料理に使うと言っても、庭のミントを一枚とって、水やケーキに浮かべる程度を想像しておられるなら、植木鉢での栽培がおすすめです。

しかし、同じハーブなら、

 

絶対パセリの方が有用性が高いです。

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よく料理のレシピ見てると、パセリ少々って掲載されてませんか?
あのパセリ少々にちょっとイラっとするのですが、手元に植えておけば、パセリ少々が実現可能です。


パセリはホームセンターで購入しようとすると、ハーブや花苗のコーナーではなく、野菜苗のコーナーに陳列してある事も多いので、気になる方は野菜苗のコーナーも覗いてみてください


次はつる植物なんですが、こちらも

何度も申し上げますが、

 

始まりはたった数百円のポット苗だったのです。


アイビー

 

ワイヤプランツ・ハツユキカズラ などのつる植物は

葉の色や形がかわいらしく、育ち安いので人気があります。

つる植物の厄介な点は、

横にも下にも上にも伸びて伸びて伸びまくる点です。

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四方八方に伸びまくった結果、気が付いた頃には、お客様自身で抜くに手に負えなくなるのです。

 

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つる植物を放置しておいて、気が付いたら家の壁につるが這っていたというお客様もいらっしゃいました。頑張って取ってみると、建物の外壁につる植物の跡がくっきりと残ってしまいとても残念な事に・・・

また、地面に伸ばしてしまったつるは着地した場所で根を張り、さらにパワーアップして広がり続けます。

人力の抜根除草では取り切れず、最後は除草剤を散布する事もあります。

防ぐ方法は、

  1. 地面に植えない
  2. 植えるけど念入りに様子を見てつるが広がらない様に頑張る(特に地面や壁に広がらない様に注意)


の2点

方法1を圧倒的におすすめいたしますが、

お庭や植物が好きで、いつもお庭に出てるから2の方法で大丈夫!

と思っておられる方もいらっしゃいます。

元気よく伸びて、美しい葉を披露してくれる植物を見ていると駆除するのを躊躇ししまう事もあります。特に植物がお好きであればその可能性もあるでしょう。

そういう私もハツユキカズラの処分を決意するのに、3年以上かかりました。


しかし、つる植物に情けは無用です。


つる庭屋敷になる前に速やかに、伸びたつるの整理をしてください。

最後もいいます。


最初は数百円のポット苗を地面に植えたばかりに、

業者に数万円の費用を払って取ってもらうという

事例が実際にありますので、ご自身のお庭に出る頻度や管理をする時間があるかどうか、などよくご検討の上、お庭の植物を楽しみましょう。


こちらにご紹介した植物はどれも本来は姿形や香りなど、すぐれた点がたくさんあります。しかし、植物は生き物なので放置すれば思いがけない成長を遂げるもの。

育て方に注意をしながら、植物の良さを味わって頂きたく思います。