世話の要らない木をお願いします-1
仕事柄
「世話の要らない木を植えて下さい」
というご要望を頂く事があります。
結論は
「ありません」
の一択です。
秒速で「ありません」と返答したいところですが、お客様も今までに色々と枯らしてしまったとか、剪定で苦労したなど、切実なお悩みをお持ちであるが故のご要望かと思い、まずはお話をお聞きするようにしています。
お客様のおっしゃる主なお世話とは
水やり
剪定
肥料
を指している事が多いです。
しかし、まずは、
植物は言葉を持たない、表情を持たないが故に、気が付きにくいのですが、
私たち人間と同様に基本的に生きものだという事をご理解頂きたいです。
暑い寒いも感じますし、お腹も減るし、水分も摂取しています。
というわけでまずは世の中に
「世話の要らない木」というものは存在しないという事をご理解頂きたいと思います。
世話の要らない木を望む方が多いのは、
- 忙しくて水やりをする時間がない
- 木が成長して巨大になってしまったらどうしていいのか分からない
- 毎年剪定代を支払えない
という理由が多い様です。
中には、枯らすのは得意なんで・・・
と自信なさげにおっしゃる方も。
枯らすのが得意というのは、
「実際に枯らしたことがある」
という実体験に基づいた感想なのですが、詳細をお聞きすると、
室内の鉢植えの観葉植物とか、ついつい買ってしまった花鉢をベランダで枯らしてしまったという経験の様です。
このような実体験に基づいて枯らすことを恐れておられる方に
一言申し上げます。
鉢を少々枯らしてしまったからと言って、心配要りません。
鉢に入った植物というのは
職業が「造園業」と称する私であっても
枯らしまくりました。
鉢植えはプロでもウッカリ枯れるんです。
(と、自分の管理不足を棚に上げてみる)
枯らすのが得意だからという事ではありません。
鉢植えは手軽ですが、長期に渡って育てるのは至難の業です。
何故なら、小さな箱の中に少しだけの土を入れてその中で根を生やし大きく健康に育てるという事は、かごの中の鳥を育てるのと一緒のことだからです。
自由を持たない植物は、人間が与える水や肥料にのみ依存して生きねばなりません。
日当たりに気を遣い、水をやり、肥料を与え、植物が成長すれば根が張り、鉢のサイズを替え、とにかく気を遣ってお世話しまくらないときちんと成長しません。
ウッカリ夏の暑い日に忙しくて水やりを忘れただけでしおれます。
かわいがりすぎて水をやりすぎても根腐れします。
と言うことで、鉢植えに失敗したからと言って、お庭に植えた木がすぐに枯れる事にはなりませんので、ご安心下さい。
広い地面に植えて、太陽と雨を浴びた植物はある程度まで育つと自力で育ってくれます。
木の巨大化については、
普段から当ブログにて、その恐ろしさの啓蒙活動↓を行った事が功を奏しているのか
実体験として、
ご実家の庭木の量が多すぎて、手入れが大変だった。
植木屋さんにお願いする剪定代がかなりかかっていた。
また、家を建てる際に、家訓として
「庭木は植えるな」と親御さんから言われた。
というお話も耳にします。
確かに、親御さん世代の方のお庭には、松やサツキの常緑樹や、生垣など毎年の剪定を欠かすと木の形がおかしくなってしまったり、ボサボサになってジャングルになってしまう樹木が多く見受けられたので、無理もない事かと思います。
しかし、心配要りません。
昔と違って現在のお庭は植栽樹木が多様化しています。
大きくならない樹木はありませんが、
大きくなるスピードがゆっくりな樹木は存在します。
インターネットでも樹木の特徴は調べられますが、植物は地域によっても育成状況は違います。敷地の様子や日当たりを見て、地元の業者の意見を参考になさることかと思います。その地域で、相当数の樹木を植えて、数年後の行く末まで見ている人の経験値は大きいかと思います。
ということで、まずは小さな結論
世話の要らない木は存在しません
しかし、世話がなるべく少なくて済む木は選択可能です。
お庭に少しでも緑の彩りを加えたいと思った方が、世話ができない事に不安を感じて植栽を諦めるのはとても勿体ないことです。
※ただし、木に水を1滴もやる時間も予定もない方には、どんなにメンテナンスが少なくて済むと言っても、おすすめする植物がありません。
また別のものをおすすめする事となります。
次回の記事では、世話がなべく少なくて済む植物についてご案内したいと思います。